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Prologue

自分にとって2度目、いね嫁にとって初となるNew Zealand遠征。超大型のキングフィッシュ(ヒラマサ)を磯から獲るために超えなければならない障壁の中で、最大の壁となって我々の前に立ちはだかるのがLottin Pointへのアクセスである。殺人的な山道を、15kg以上の荷物を背負って歩き続けなければならない。本格的な登山家から見れば大した山ではないかもしれないが、単なる登山と大きく異なる点は、現場に到着した直後からGTタックルを休みなく振りつづけ、場合によっては20kgを超える猛魚と相対せねばならないということである。これを連日続けるだけの体力と気力を身に付けておかねば、ロックショアからのキングフィッシュに挑戦する権利すら得られない。

Day 1st

相変わらず『小せぇ!』としか言いようがない国内線の飛行機。
Sanford夫妻が経営するOceanside Apartments。目の前はビーチ。写真で見る以上に素晴らしいMotelである。
今回一緒に釣りをする大阪のまつさんとは、オークランド空港で初めて出会った。だが、そこは遠く北半球からこの地へLand-based Big Game Fishingを求めて乗り込んでくる者同士、意気投合するのに時間は必要としなかった。

午後4時過ぎ、前回釣行時にも利用した超小型機で、一路Whakataneへ。到着後、事前に手配しておいたレンタカーを受け取り、スーパーマーケットで6日分の食料を買い込む。そう、前回の釣行と今回とで最も異なる点は、Markにガイドを頼まず、総てにおいて独力で釣りを行うこと。自分にとって最高最強ターゲットであるキングフィッシュを、自分たちのマネージメント下で釣り上げるという我侭かつ壮大な計画を、今まさに実行に移しているのである。

買出しと食事を終え、一路宿泊先のOceanside Apartmentsへ車を走らせる。すでに晩秋に差し掛かっているNew Zealand、辺りはすっかり暗くなってしまっている。途中、Markの自宅前で車を止め、ギャフを借りていく。飛行機の手荷物重量制限に苦戦していた自分たちのために、彼が貸してくれたのである。Markの好意に応えるためにも、いい釣りが出来ることを祈ってやまない。だが、道中は大雨。この地域の釣り場は牧草地や河川と隣り合わせのところが多いため、雨は悪い方向にしか影響しない。明日からの海況に関して言いようのない不安に駆られているうちに、Oceanside Apartmentsに到着。

前回の釣行時に宿泊したLottin Point Motelよりも釣り場へは遠いのだが、それを補って余りある設備の良さと快適さ。辺境の地のリゾートと呼ぶに相応しい、素晴らしい宿である。車から大量の荷物を降ろし、明日からの果てしない闘いに備え、シャワーを浴びて早々にベッドに潜り込んだ。

Day 2nd

長旅の疲れも取れぬままに起きた、New Zealand最初の朝。重力に服従しかける目蓋を遮るように目を擦り、窓の外を覗く。雨は上がっているようだが、波風はそこそこあるように思える。正直釣りが可能かどうかは微妙なラインではあったが、釣り場へのルートを明確にしておきたい思いもあり、まつさんと2人で出撃を決定。いね嫁は食材の仕込みなどをし、3日目以降の釣行へ備えることになった。

宿から30分ほど車を走らせ、Lottin Pointの入り口へ。果たして登山家なのか釣り人なのかわからない格好で、まずは山への入り口を探す。ほどなくして道が見つかり、ひたすら山を登る。一応、人が通った跡があるので、それに沿って歩いていく。だが、30分ほど歩いた地点で違和感を感じる。『…こんな道通ったか?』

3人の中でLottin Pointへ徒歩でアクセスしたことがあるのは自分だけなので、自分の記憶だけが頼りである。だが、今歩いている道は記憶にない。かといって、途中で分かれ道があったわけでもない。半信半疑のまま山道を歩いていくと、案の定見覚えのない場所に出てしまった。目的地は遥か上。やはり途中で道を間違えているようなので、半分ほど戻ってみるがやはり分かれ道らしきものはない。仕方がないので、道なき道、急坂を手を付きながら登って無理矢理目的地に到着。しかし、この目的地とはあくまでも全体の行程の半分に過ぎない。ここからさらに50分ほど山を降り、磯伝いに歩き、やっと釣り場に到着するのである。

3時間近く彷徨い続け、ついに見つけたルート。だが、釣りは不可能という現実に、抗い難い脱力感が襲う。
一息ついたのち、行軍再開。だが、10分ほど歩いたところで、10m/sを超える爆風が吹き始めた。釣りどころか、崖沿いに歩くのにも危険を感じるほどの風が吹いてきたのである。立っているのも危ないので、座り込んで釣り座を遠目に確認すると、すでに波を被ってしまっている。いつでも磯において無理は禁物。ましてやここは海外である。本日は釣りを諦め、宿へ戻ることにする。

本日の歩行時間:3時間半
本日の実釣時間:0時間

この厳しい現実に負けない気力と体力が必要だ。