---vol.3---

Day 3

【walkabout】
海釣りを始めた中学生の頃、毎週のように歩いて渡っていた地磯があった。アップダウンはそれほどではないものの、延々と磯伝いに30分ほど歩かなければ到達できないその地磯は、中学生の自分にはなかなかハードなものだった。そしていま大人になって、もっともっと大きく強い魚を求め、南半球まで来てまた地磯に向かって歩いている。その道程は、かつて中学生のころ歩いたそれよりも遙かに長く、圧倒的に険しい。だが地磯への道中、心に抱くその日の釣りへの純粋な思いは、あの頃から何も変わってはいない。

朝6時過ぎ、駐車場に到着する。まだ外は薄暗い。30分ほどして視界が明るくなってきてから、出発の準備に取り掛かる。入念なストレッチを行ったのち、歩き始める。目指すは山を越えたさらに向こう、最果ての地。歩き始めて10分、さっそくちょっとした難関が立ちはだかる。満潮でルートが水没している。濡れるのを覚悟するなら簡単に渡れるが、いま足を濡らすと今後の山登りがかなりきつくなるので、できるだけ濡れたくない。岩壁にへばりつき、なんとかここを突破。ほっと一息つきたいところだが、山歩きはここからが本番。上り坂を越え、牧草地をひた歩き、柵を越え、また歩く。途中、道を見失ったが、まつさんがルートを見つけ出し無事復帰。ここからまた延々と上り坂を越え、やっとのことで中間地点に到着。あとは下るだけだと気が軽くなったのだが、これが大きな間違いだった。海岸線に降りてからの磯伝いの道が、なぜか今回は異様に長く感じる。目的の磯に到着するころには、ほとほと嫌気がさしていた。歩き始めてから約2時間。やはり遠い。遠すぎる!

しかし我々に疲れている暇はない。釣りは今からが本番。休憩もそこそこにタックルをセットし、キャスト開始。まずはトップで活性の高い魚を探すが、反応がないのでジグで沖を撃つ。ちょうど下げの潮が効き始める時間帯のはずなのだが、ジグはまっすぐ帰ってくる。ちょっと嫌な予感がする。案の定、沖の深場をいくら探ってもまったくアタリがない。たまにちょこっと潮が流れると、瀬際に小さなヒラマサが入ってくるので、とりあえずこれをジグで釣って暇つぶし。3本ほど立て続けに釣ったが、全部2kgにも満たないような極小サイズである。

しばらくして、もうちょっといいサイズが足元に入ってきて、それをいね嫁がジグで掛けた。瀬際を一気に走ったところで、残念ながらポロリとフックアウト。渋い中での貴重なヒットだっただけに悔やまれる。しばらくして、まつさんにも足元でヒットし、そのまま抜き上げ。これは4kgくらいのヒラマサだった。

ガッカリ。。
この魚を最後に、海は完全に沈黙。上げ潮にかわっても、潮はまったく動く気配すらなし。カウアイもちらほら見かける程度。昨日の午後は沖磯でまぁまぁ調子がよかったので、この日も午後に期待していたのだが、現状は相当厳しい。可能ならば歩いて別の磯に移動したいところなのだが、あいにくこの日は西風が吹きつけており、他の磯はすべて波が這い上がっていて危険極まりない。我々に残された術は、時間いっぱいまでこの磯で粘るのみだ。

『潮さえ動けば…』と祈りつつ最善を尽くしたが、願いもむなしく海は沈黙を保ち、そのまま時間切れ。この磯に立つのは通算4度目だが、今回がこれまでで一番渋かった。無念の帰路。精神的ダメージでさぞかし足が重いだろうと予想していたが、意外にも帰りは1時間40分で駐車場に戻っていた。体が山歩きに慣れたのだろう。

ここまでかなり厳しい戦いを強いられてきているが、無情にも翌日が最終日。あと一日に賭けるしかない。宿に戻って作戦会議。選択肢は、バリーのボートで再び沖磯に渡るか、アンドリューが教えてくれた番号に電話して、私有地内の地磯に入るかの2つに1つ。私有地の磯は、この日釣りをした磯とそう離れておらず、状況は似たようなものだろうと判断し却下。

明日は沖磯にすべてを賭ける。

タックル1(いね)
ロッド MC Works' レイジングブルXR-2
リール ダイワ ソルティガZ6000
ライン よつあみ ウルトラジグマン 8号
リーダー ヤマシタ ニュークロー60号+100号
ルアー いろいろ

タックル2(いね)
ロッド Medusa Limited Crafts ワイルドブレーカー100HM/H
リール ダイワ ソルティガZ6000
ライン よつあみ ウルトラキャストマン 6号
リーダー ヤマシタ ニュークロー40号
ルアー エバーグリーン ジャベリン140g

タックル(いね嫁)
ロッド MC Works' ワイルドブレーカー96R(プロト)
リール ダイワ ソルティガZ4500
ライン よつあみ ウルトラキャストマン 4号
リーダー ヤマシタ ニュークロー30号
ルアー いろいろ