ショアGT遠征2007

- vol.03 -

決断

その日ベッドの上で目がさめるまで、今週は遠征に行くつもりはなかった。だが、金曜朝のまどろみを打ち破る一通の電話により、状況が一変する。現地からの最新情報。今までの経験からすると、自分が行く頃にちょうど爆るパターン。散々迷ったが、最終的には「GO!」の決断を下した。職場からそのまま遠征に向かうため、出勤前に大慌てで準備を行う。準備に許された時間は30分。必要不可欠な道具と着替えだけをバッグに押し込み、バタバタと職場へ。夕方、職場を出て大急ぎで車を走らせる。あまりにも急な遠征のため、当然のことながら同行者はいない。それにも慣れてしまったのか、あまり寂しいとは感じない。だが、長い道中は暇だ。

昼磯

現地到着後、まずは磯に降りる。フルキャストでギリギリ届くあたりに激流が走っている。急いでタックルをセットし、キャスト開始。居着きの魚がいるような環境ではなさそうなので、潮流に乗って回遊してくるGTを待つが出ない。潮が上げてきて足場がなくなってきたので、隣の磯まで移動する。だが、ここもダメ。なんでかなぁ〜、と思いながら沖を観察すると、なんとイルカの大群。どうりで釣れないわけである。これでは粘っても仕方がないので、撤収。夜に備える。

「5」の壁

そして迎えた夜。日暮れと同時にベイトの気配を感じるが、それについているGTの活性が低い、もしくは数が少ないといった様子である。ボイルの数も極端に少ない。完全なペンシルパターンと判断。魚もかなり遠いようなので、大型のペンシルを試作ロッドで力いっぱい遠投する。ペンシルに換えて数投目、着水点から5mほど引いてきたところでヒット!! 小さいようなので、一気に寄せてランディング。

遠近法で撮ってみたらえらく巨大に見えるが、実際は12kg。まずは小手調べといったところである。

30分後、まったく同じパターンでヒット。サイズもほとんど一緒のようである。

13kg。この時点では「小物デーに当たってしまったか?」とやや不安になる。

しかし、幸運にもその不安は杞憂に終わる。1時間後、再び同じパターンでヒット。ファーストランでラインがそこそこ出ていくので、先ほどの2匹よりはサイズがいいようだ。ファーストランを止めたあと、一気に寄せにかかる。根が荒い方向に行っているので気が抜けない。途中、根を見つけた魚は一気に突っ込もうとする。リーダーが根に触れた感触が手元に伝わるが、一瞬テンションを弛めてこれを回避。その後はスムーズにネットイン。

今度はぐっとサイズアップして25kg!! とりあえずGTと呼べるサイズを上げられて一安心である。試作ロッドのほうも、このサイズまでなら真下への突っ込みの負荷もそれほどでもなく、勝負がメチャクチャ早い。あまりにスムーズなファイトに、やっぱりこのまま製品化しても大丈夫か?と思っていたのだが…。

先ほどの根ズレでリーダーが痛んでいたので、替えスプールを装着してキャスト再開。50分ほどして、本日4本目がヒット!! パターンはこれまでの3本とまったく同じであるが、ルアーへのアタックからしてサイズがこれまでとは一味違いそうである。ロッドを立ててプレッシャーをかけながら、魚を止める。寄せの途中でまたしても根に触れるが、これもなんとか回避し、ベリーの反発力を生かして一気呵成にポンピングする。ほどなくして、魚は足元へ。しかしここからが…大変だった。真下に突っ込む魚に対し、超パワフルなバット部をしっかり曲げるには自分の体重と筋力が足りないのである。つまり、のされまくってしまった。ラインが堤防の角に触れないように、ロッドを支えておくだけで精いっぱいの状態である。前のめりの状態のまま、ひたすらGTの突っ込みに耐える。のされてしまっているので、下半身や背筋を使うことがでず、純粋に腕の力のみで勝負するしかない。これまでGTとのファイトで握力に不安を感じたことは一度もなかったのだが、今回ばかりは握力が怪しくなってきた。上腕二頭筋の筋細胞もブチブチ切れていそうだ。壮絶な無酸素運動の末、相手の力が徐々に緩んでくるのを感じる。お互いの魂を燃やし尽すような、一対一の綱引きを制したのは自分だった。なんとか魚をネットに収め、ゲームセット!

40kgのナイスサイズ!久々に全身が燃え尽きるようなファイトだったが、なんとか獲ることができて一安心である。そしてこの魚のおかげで、ロッドのセカンドサンプルはバットパワーを落とす方向で設計するという方針に間違いがないことを確信するに至る。高反発なベリーによる寄せの早さに関しては秀逸の一言であるため、垂直ファイト時にしっかりバットまで曲がるようになれば、相当にいいロッドに仕上がりそうである。

立て続けに4本釣って体力を消耗してしまったが、魚はまだ釣れそうな雰囲気だ。しかし、替えスプールのリーダーも根ズレしてしまったので、システムを組みなおさなければならない。そんなときに限って、本日最大魚のボイルが発生!そして、それを友人が掛けた!根から魚を離すため、ヒットと同時に自分も堤防上を走って魚にプレッシャーを掛けている。システムを組み終え、友人の元へ駆けつける。上がってきた魚は立派な52kg!苦節10年にして50kgの壁を越えた友人を祝福しつつも、何も自分がシステムを組みなおしているときにこんなサイズが入ってこなくてもいいじゃないかという複雑な想いだった。

当然すぐにキャストを再開したが、日付が変わった頃には魚の気配が消えてしまい、そのまま尻すぼみ的にゲームセット。4年連続40kg以上をゲット、3年連続一晩4キャッチを達成と、満足いく釣行ではあったものの、「50kg」と「一晩5キャッチ」という壁には跳ね返され続けている。まぁ、それは次回、改良された試作ロッドを投入するときの楽しみとしてとっておくことにしよう。

タックル
ロッド MC Works' レイジングブル938XX(プロト)
リール ダイワ ソルティガZ6000
ライン よつあみ ウルトラジグマン8号
リーダー ヤマシタ ニュークロー60号+80号
ルアー カーペンター GT-γ160