SHORE PLUGGIN'

---vol.17---

超接近戦

潮と気象条件に恵まれた某日。暗中の磯に単身乗り込む。暗がりで目を凝らし周囲を観察すると、無風でかつ、程よい波っ気があり、潮もショアライン近くに差してきている。これでヒラスを獲れなかったら完全に釣り手のスキルの問題、といった状況。

ひとり、磯上で呟く。

『今日獲らないでいつ獲る!?』

夜明けと同時にキャスト開始。まだ暗くて水中の様子は目視できないが、事前の調査で海中の地形は完璧に頭に刷り込んである。足元には嫌な根が張り出しているが、その根周りこそがヒラスのフィーディングポイント。大型になればなるほど根スレスレのピンポイントでしか食ってこないため、アングラーは超タイトな接近戦を強いられることとなる。

着水音でプレッシャーを与えないように、ルアーをやや遠投してから磯際までルアーを引いてくる。

磯際まで15m。まだまだ。

磯際まで10m。まだ遠い。

磯際まで5m。そろそろ来るか!?

磯際まで2m。来るぞ来るぞ来るぞ!!!

そして磯際まで1m。「ズボッ」という鈍い音が緊張の静寂を切り裂く。来たっっっ!!!!!!

アワセと同時に強烈なカウンターを食らい、体勢を崩される。不覚にもヒラスに先手を取られてしまった。後手に回ってしまったアングラーは守備に回らざるを得ない。相手に与えられるラインは約2m。これ以上与えてしまうと、ハエ根で切られてしまう。この2mのなかでなんとかやりくりするしかない!!

最初の突っ込みが止まった一瞬の隙にロッドを起こそうと試みるが、間髪入れずに次の突っ込みが襲う。腰を落として堪えるが、この間にラインを1mほど奪われてしまう。ハエ根まであと1mしかない。渾身の力を込め、ロッドを引き起こす。RB100XR-1は極限のベンディングカーブを描く。だがそれでも相手は怯まない。さらに三度目の突っ込みが始まり、ヒラスはハエ根に向って一直線!! 不安定な足場でなんとか体勢を維持して耐え抜くが、またしてもラインを1m以上出されてしまう。まずい。2m以上のラインを奪われてしまった。

心の中で「やられたかっ」と覚悟を決めたが、リーダーが根を擦っている感覚がない。一瞬不思議に思っていると、突っ込みが止まった。相手は酸欠なのか、次の突っ込みが来ない。ヒットからここまで約10秒。ついに訪れた攻守交代のチャンス!! 一気にゴリゴリ巻いて海面を割らせ、ウネリに乗せて速攻で磯にズリ上げる。一度は諦めかけた勝負だったが、僅差の勝利が転がり込んだ。

ヒラス 100cm 8kg!!

ルアーを確認してみると、テールフックが口に掛り、ボディフックがカマの部分に掛っていた。道理でいくらロッドを起こしても頭がこちらを向かないはずである。しかも、あまりの引きの強さに、フックが掛っていたカマの部分の肉が15cmほど裂けていた。自らの身を切り裂きながらも抵抗するこの魚の強さに、改めて尊敬と畏敬の念を抱く。

それにしても、なぜリーダーが根ズレしなかったのか。どうしても気になり、明るくなりはじめた海中を観察すると、理由がわかった。以前視察したときと比べて、この朝は1mほど潮位が高かったのである。アングラー不利な要素に満ち満ちた磯というフィールドで、この日唯一有利に働いた要素だった。

呼吸を整え、さらなる闘いを求めてキャスト再開。すぐに沖で何かがヒットし、ゴリ巻きでアッサリ寄せてサクっと抜く。

サワラ 90cm。喰って旨い魚だが、さっきのヒラスの百分の一も引かなかった。

さらにキャストを続けると、足元でヒラゴがルアーにアタック!! なんとイルカのように体全部を空中に出してカッ飛んできたが、的を外してヒットせず。思わず苦笑い。しかしとんでもない活性の高さだ。

今度は沖でバシャっと出たが、乗らず。これは出たポイントからしてサワラっぽい。さらにもう一発、磯際から10mほどの位置から小さいヒラスがついてきたが、見切られヒットせず。小型だが、見切られたのがちょっと悔しい。

このまま終わってしまうといかにも尻すぼみなので、なんとかもう一本とキャスト続行。すると、磯際から5mほどのところでヒラゴがルアーにロックオン。十分に磯際に近いので活性が高く、ワンアクションで喰ってきた。ロッドを立てるまでもなくリールの力だけで巻いてそのまま抜き上げ。2kgくらいか。もっと手強い相手になって帰って来いとの想いを込めて、そっと海に帰した。

タックル
ロッド MC Works' レイジングブルXR-1
リール ダイワ ソルティガZ6000
ライン よつあみ ウルトラキャストマン 5号
リーダー ユニチカ 飛翔 30号
ルアー プラグ